科学研究費補助金『特定領域研究』
火山爆発のダイナミックス  A02班
 
 
 

A02班の目的

  • 研究項目 A02 火山爆発の準備過程をさぐる

    計画研究イ 研究課題名:マグマ内揮発性物質による火道内部の増圧過程の解明

    (1)研究内容

    地表で観測される火山爆発に先立って,地下では爆発のための諸準備現象が進んでいる. その準備はどれくらい前から進行し,また,マグマはどのように物理化学的特性を変化させ多様な爆発現象を生むのか? もしその準備過程が明らかとなり,それを外部から物理・化学的観測などにより捉えることができれば,地表で現れる噴火活動の理解が深まり,かつ,噴火規模・様式・推移の予測実現への道が開かれる. 火山爆発の準備過程では,マグマ内揮発性物質の発泡や火道周辺岩体を通じた浸透・脱ガスなどのプロセスの相互作用によって火道内マグマが増圧する過程が本質的である. その各素過程の時間スケールの解明は,噴火の時期,様式,推移や噴火の終息を予測する上で、極めて重要である. そこで本研究では,その場観測などの主に実験的手法を用いて,マグマ内揮発性物質の物理化学的挙動と周辺岩帯との相互作用について,各過程の時間スケールや物質定数を決定することを目的とする. 具体的には,高温下でのマグマ発泡現象のその場観察や,極微小領域における火山ガラス含水量の定量などについて世界最先端の多様な実験技術を開発することで,質的にこれまでに無い物質定数を測定し,マグマの上昇及び増圧過程の時間スケールと化学的要因を解明する. またマグマ上昇中の脱ガス率を求めるため,火道周辺への水・ガス散逸・浸透過程の評価を実験的に行う. さらに母岩と熱水の反応実験や割れ目形成実験を行い、マグマ上昇に不可欠な火道の開閉現象を定量化する. 以上の実験結果に基づき,増圧源となる発泡現象,脱圧過程である岩体へのガスの浸透散逸減少・マグマ上昇・噴出の律速過程である火道開閉現象のそれぞれについて総合的なモデル化(数値実験)を行い,実際の火山噴火で得られている観測量と比較検討することで火山爆発の準備過程の理解を大きく前進させる.